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【交通事故コラム】「兼業主夫」の基礎収入として、実収入より高い女性全年齢平均賃金が認められた事例

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今回は、大阪地方裁判所令和6年7月19日判決を紹介します。
本判決は、バイクと自動車が出会い頭に衝突した事故において、被害者である男性の「家事従事者(主夫)」としての休業損害や逸失利益が認められるかが主な争点となった事例です。

事案の概要
事故は、大阪市内の信号機のない交差点で発生しました。
原告(30歳男性)は、バイクで優先道路を時速約50キロメートルで走行し、商品の配達を行っていました。
そこへ、交差する劣後道路(優先ではない道路)から被告運転の乗用車が進入し、バイクと衝突しました。

この事故で、原告は右足関節脱臼骨折や右脛骨高原骨折などの重傷を負い、後に足関節の機能障害として後遺障害等級12級7号が認定されました。

原告は個人事業主として飲食業や運送業を営んでいましたが、実収入は年額約240万円程度でした。
一方で、同居する内縁の妻と子のために家事や育児の多くを担っていました。

裁判所の判断
原告の実収入は、上記のとおり比較的定額(約240万円)でしたが、原告は、「自分は家事労働に従事していた」として、女性の全年齢平均賃金(約380万円)をベースとする休業損害・逸失利益を主張しました。
これに対し被告側は、実収入をベースにすべきだと反論しました。

裁判所は、原告の主張を概ね認め、被告に対して約1578万円の支払いを命じました。

裁判所は、原告が内縁の妻と子の三人暮らしであり、妻がフルタイムの正社員として働いている一方で、原告が保育園の送迎、食事の準備、洗濯、子供の入浴や寝かしつけなどを担っていた事実を認定しました。

その上で、「原告が、原告、内縁の妻及び子の家族の中で中心的に家事を担っており、子の年齢や内縁の妻の就労の状況を踏まえるとその分量も多かったと認めることができるから、原告の基礎収入を通常の兼業家事従事者と同様に考えるのが相当」だと述べました。

その結果、基礎収入の金額として、賃金センサスの女子全年齢平均賃金である「381万9,200円」が認められ、それに基づいて休業損害や逸失利益が計算されました。

コメント
交通事故の損害賠償実務において、女性が仕事をしながら家事に従事している(兼業主婦)場合、実収入が低くても全女性の平均賃金をベースに賠償額を算定することが定着しています。

一方で、男性の場合、家事に従事しているという主張が認められないなど、「主夫」としての家事労働分が評価されるハードルは高い傾向にあります。

しかし本判決は、男性であっても、家庭内で中心的に家事育児を担っている実態があれば、女性と同様に平均賃金を基礎収入として認めるという柔軟かつ公平な判断を示しました。
そのような判断を引き出すには、妻側の稼働状況の立証も重要なポイントになってくると思われます。

共働き世帯が増加し、男性が家事育児を担うケースが増えている現代において、このような事例は今後増えてくると思われます。

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