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【離婚コラム】離婚後の事情変更による養育費増額|新たな子供の誕生・借金完済と再計算の基準

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離婚時に話し合いで決めた養育費であっても、その後に状況が大きく変わった場合には、金額の変更(増額や減額)を求めることができます。
今回ご紹介するのは、離婚時の合意にはなかった「新たな子供の誕生」や「借金の完済」、「収入の変化」などが重なったケースにおいて、裁判所がどのように養育費の再計算を行ったかを示す裁判例(東京高裁令和6年11月21日決定)です。

事案の概要
離婚時に「月額2万円」の養育費を支払う合意(調停調書や公正証書は無し)をしていた元夫婦の事案です。
その後、子供を養育している側(相手方)が、養育費の増額を求め、令和4年9月に調停を申し立てました。

この事案では、離婚時から現在までに以下のような複数の変化が生じていました。

  • 義務者(支払う側)が離婚前から抱えていた約100万円の借金を完済した。
  • 義務者が再婚し、別の女性との間に子供(第3子)が生まれた(その後、再婚相手とも離婚)。
  • 権利者(受け取る側)が疾病のため就労できなくなり、傷病手当金を受給するようになった。
  • 義務者の仕事環境が変わり、収入状況が変化した。

裁判所の判断
東京高等裁判所は、以下のプロセスを経て養育費を「月額3万1000円」に増額するのが相当であると判断しました。

(1)事情変更の有無
裁判所は、民法880条の趣旨に基づき、「協議の際に基礎とされた事情に変更が生じ、合意内容が実情に適合せず相当性を欠くに至った場合」には内容を変更できると述べました。
本件では、前述の借金完済、新たな子供の誕生、収入の変化などがすべて「事情の変更」に該当するとされました。

(2)新たな子供の扶養をどう考慮するか
義務者に新たに生まれた子供(第3子)の養育費について、裁判所は「義務者と第3子の母が半分ずつ負担すべきもの」として計算式に組み込みました。
具体的には、標準算定方式の計算プロセスにおいて、第3子の生活費指数を半分(31)として義務者の基礎収入に割り振る手法を採っています。

(3)離婚後の借金は考慮されない
義務者側は「離婚後に新たに作った借金の返済がある」と主張しましたが、裁判所はこれを退けました。
離婚前からあった借金は、当時の夫婦生活に関連する可能性があるため合意時に考慮される余地がありますが、離婚後に個人的に作った借金については、養育費を減らす理由にはならないという判断です。

(4)増額の始期
養育費の変更が認められる時期については、すべての事情変更が出そろった「令和4年12月」からとするのが相当とされました。
実務上は請求時又は調停申立時から変更が認められることが多いですが、調停申立後に生じた事情変更(義務者の就職)も算定に組み込んだことに伴う判断と思われます。

コメント
本決定は、離婚後の様々な生活変化を総合的に評価して養育費の増額を認めた事例です。

養育費の金額が現在の生活実態に合わなくなったと感じる場合、どのような要素が「事情の変更」として法的に認められるかを見極め、丁寧に主張・立証していくことが重要です。

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